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防衛ではなく防災拠点に

防衛省の日鉄跡地購入計画を許さない

広島県 呉市

 防衛省が広島県呉(くれ)市にある日本製鉄(日鉄)の跡地を一括購入し「複合防衛拠点」としようとしている問題について、地質学者で防災士の越智(おち)秀二さんが広島・安佐南生活と健康を守る会に寄稿しました。また、同会会員の坂井エイコさんが海上自衛隊呉基地などの呉港の見学ツアーに行った感想文と併せて、同会のニュース『生きる』から紹介します。

救援復興活動の拠点に
地質学者・防災士 越智秀二

 近い将来、必ず来る「南海トラフ巨大地震」は相当規模の地震と考えられ、四国沖には広範囲にひずみが蓄積しています。その前には内陸部で直下型地震が続くとされ、1995年の兵庫県南部地震以降、全国でマグニチュード(M)7級の直下型地震が続いています。
 ですが、2016年の熊本地震以降、西日本ではM7級の地震は起きておらず、かつ瀬戸内海西部の伊予灘(いよなだ)にはひずみが集中しているにもかかわらず近年は浅い地震が少なく、相当規模のエネルギーがたまっています。
 この付近で、近い将来に活動しそうな活断層は「安芸灘(あきなだ)断層群主部」と呼ばれる活断層群で、山口県柳井(やない)市東方から広島県江田島(えたじま)市付近にまで達する海底断層です。活動が起こればM7・2の地震が来るとされ、これが動けばその延長部に呉市があり、呉市は深刻な打撃を受けます。「防衛拠点で町おこし」などと浮かれている場合ではありません。
 日鉄跡地を防災拠点にしておけば、当然、耐震化された巨大防災基地になり、機動性に富んだ救援復興活動の拠点として活用できます。将来にわたり中四国地方の一大防災拠点として活躍できます。
 「日鉄跡地は防衛拠点ではなく防災拠点に」の声を大きく上げていきましょう。

「戦争する国づくり」実感
安佐南生健会 坂井エイコ

 私は6月8日、「ストップ!戦争する国づくり 安佐地区市民アクション」が主催の海上自衛隊呉基地など呉港を見学するバスツアーに参加してきました。
 閉鎖した日鉄呉跡地の活用問題で防衛省が「防衛力の抜本的強化のため跡地を一括購入したい」と突然、意向を表明。地元市民は経済活性化への期待、第2次世界大戦中の呉空襲の教訓から軍事拠点化の心配など賛否両論。
 呉平和委員会の森芳郎さん(呉市生活と健康を守る会会長)は「防衛省の日鉄跡地購入は海上自衛隊のさらなる増強で兵站(へいたん)基地になる」と呉基地の軍都復活を許さない運動をしていると話します。
 日本の潜水艦24隻のうち12隻が呉に配備され、その潜水艦にミサイルを積む準備をしているとのこと。港から正面に江田島の秋月(あきづき)弾薬庫が見え、弾薬庫は19本のトンネル方式になっているそうです。
 国の防衛費「5年間で43兆円」がこうして使われているのかと、「戦争する国づくり」が進んでいると実感した不気味な光景でした。
 憲法9条2項は「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」となっています。なぜ軍事力が必要なのか、多くの疑問を感じた一日でした。

(2024年8月4日号「守る新聞」)

 
   
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