生活保護の申請できずシングルマザー死亡
大阪 母親、弁護士、学者、大生連が抗議し改善要求
2022年、夫のDVから逃げていた当時22歳のシングルマザーAさんが同居する知人男性から撲殺される事件が起こりました。精神疾患により就労できず、ライフラインが止められ、生活保護の3度申請も拒否されていました。全大阪生活と健康を守る会連合会(大生連)とAさんの母などは、大阪市に謝罪を求め、再発防止の要望書を提出し記者会見を行いました。大生連の大口耕吉郎会長の報告です。
7月23日、大阪市に要望書を提出後、記者会見でAさんの母は「夫の暴力から逃げていた娘に対し夫に連絡を取るよう要求したことや、申請を拒否し追い返したことは納得できない」と話しました。Aさんが生活保護を利用できなかった経過は次の通りです。
3度行くが申請できず
2020年、Aさんは夫のDVから逃れ、知人宅に身を寄せ、体調を崩して働けなくなり心療内科に通いました。身長155センチのAさんの体重は30キロまで激減し入院が必要でしたが、コロナ禍で入院できず手持金が底をつきました。電気・ガス・水道が止められ、子どもは施設に入所しました。
21年7月、1回目の申請。別世帯の母親とともに行くと、50代男性職員が対応し、家賃契約書を持ってくるように指示。Aさんが「知人の家なので契約書はない」と答えると、「契約書がないと申請はできない」と追い返しました。
同年12月、2回目の申請。母親のみが行き、他の職員が対応しました。この職員は申請書を渡しましたが、書類の説明をしませんでした。その後Aさんの病状はさらにひどくなり、書類を書けませんでした。
違法な大阪市の保護行政
22年3月15日、3回目の申請。Aさんは母親と一緒に行きました。職員は「夫と連絡を取って扶養を求めること。離婚届を出すこと、賃貸契約は保護の条件。家賃オーバーなら申請できない」と言いました。母親が「今言ったことを記録したい」と求めると、職員はメモ用紙を投げつけ「生活保護に例外はない。申請用紙は出せない。コインの裏表」と意味不明なことを言いました。Aさんは「もういい。私みたいな人間のくずが生活保護を受けるなんて、みんなの税金で申し訳ない」と泣きくずれ、母親と面接室から退出。職員は追ってきて、「今手持金はいくらあるのか」と尋ねると、Aさんは「600円」と答えるも、職員は返事をせずに戻りました。
その後、Aさんは知人男性の家に住み、数日後、その男性に撲殺されました。
大口会長は「大阪維新の会による大阪市の違法で異常な保護行政は今も続いている。Aさんが生健会のビラを見て相談されていたらと悔(く)やまれる。現在、Aさんの母、弁護士、大生連が対応している」と述べています。
(2024年8月25日号「守る新聞」)