光が見えないなか10年頑張った
人間らしく生きたい! 人間裁判 岡山地裁勝訴
岡山県生活と健康を守る会連合会は10月28日、提訴して10年になる「人間らしく生きたい! 人間裁判」の判決を迎え、勝訴しました。生活保護基準引き下げ違憲訴訟の地裁判決は18勝目です。
保護変更処分を取り消す
裁判に参加した原告は6人。この間、何人もの原告が判決を聞くこともできないまま亡くなりました。11時開廷、上田賀代裁判長は、聞き取りにくい小さな声で判決文を読み上げました。要点は3つでした。
1番目は、原告が死亡したことによりいずれも終了した。2番目は、生活保護法25条2項に基づく保護変更決定処分をいずれも取り消す。3番目は、国家賠償請求に関しては本件各処分が判決により取り消されることによっては回復できない精神的苦痛を被ったものと認めるには足りないので棄却する。
法廷内は、「取り消し」「棄却」の語尾だけが残り「負けた?」ような雰囲気でした。
勝利判決を確信したのは、裁判所の玄関前での旗出しを見てからで、多くの人たちと一緒に万歳をしました。そして、弁護士会館で行われた報告集会では則武透弁護士から「みなさん、勝利したんですよ」との声に大きな拍手が起こりました。
朝日茂さんの地で64年ぶり
原告は記者会見で「光が見えない中で10年間頑張った。本当にうれしい。国は控訴しないでほしい」「1日も早く、元の生活保護費に戻してほしい」「物価高の中で人間らしく生きることができる金額にしてほしいと」と訴えていました。また、「人間として認められた。憲法25条は生きている」との発言が印象的でした。
弁護士から次の説明がありました。
今回の引き下げの名目とされた(1)「ゆがみ調整」、(2)「デフレ調整」のうち、(1)ゆがみ調整の改定率の算出にあたり、減額改定となる部分のみならず、増額改定となる部分についても一律に2分の1調整をした点で、被保護者の生活への影響等の観点からみて裁量権の逸脱または濫用が認められると判断した。
(2)新しい点としてデフレ調整を行う過程で、ゆがみ調整に加えてデフレ調整を行った場合の生活扶助基準が一般低所得者世帯の消費水準と均衡したものかどうかについて適切な検討や検証が行われていない点で判断過程に過誤ないし欠落があり、裁量権の逸脱または濫用があると認められる。
岡山は朝日茂さん・人間裁判の地です。あの素晴らしい浅沼武判決から64年ぶり、憲法25条、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を具体的に保障する歴史的・画期的な勝訴判決でした。(関藤香代子通信員)
(2024年11月10日号「守る新聞」)