値段を見て諦め、何のために生きているのか
生活保護基準10%以上引き上げて
11・7全生連・厚労省と交渉
全国生活と健康を守る会連合会(全生連)は、生活保護基準引き下げ違憲訴訟の結果を見て、引き上げを求めています。物価高騰が生活を激しく圧迫している下で全生連は11月7日、厚生労働省に要望書を提出し、2025(令和7)年度の生活保護基準を10%以上引き上げることを訴えました。(佐藤 愛)
参議院議員会館で行われた交渉に、全生連や首都圏の生活と健康を守る会から38人が参加しました。
厚生労働省は「令和7年度以降の基準については、社会経済動向を見極めて令和7年度予算の編成過程において検討する」と回答しました。
コメが倍の値段に
神奈川県の生活保護基準引き下げ違憲訴訟の原告の高橋史帆さんは「コメが一番安い食料品だったのに価格が倍になっている。代わりに菓子パンなどを食べると糖尿病のリスクが高まる。糖尿病が原因で生活保護を利用した人がいる。いったい何を食べればよいのか。そして、今年の暑さはエアコンをつけても暑く、高齢者には無理。光熱費を気にして夏の暑さの中、3日に1回のシャワーというのは、あせもと悪臭を気にしながら生きることだ」。
東京・荒川の平原享子さんは「物価高がひどく、値段が変わらない食品も量が減っている。買い物に行っても値段を見て諦める。何のために生きているのか分からなくなる」。
東京・日野の50代の男性は「今年の暑さで熱中症と脱水症になった。精神障害もあり今も体調が戻らない。コメも高くなり、電気代、交通費も高くなっている。冬季加算があるからよいのではなく夏季加算も必要だ」。
暑さで亡くなる人も
千葉・四街道の高野秀純さんは「今年の夏の暑さの中、家で裸で亡くなった人がいる。その人はスーパーで営業時間ぎりぎりまで涼み、食事は菓子パンでしのいでいた」。
全生連の丸山秀子副会長は「生活保護利用者のエアコンが壊れたので、福祉事務所に相談をしたら追い返された。『積立てたお金で買えば』と言われたが、積み立てられるはずがない。東京都は『熱中症に気をつけろ』と言うが、気をつけられるはずがない」。
埼玉・富士見市の綾好文さんは「生活保護を利用していても生活苦を理由に自殺する人がいる。これは憲法25条違反ではないか」。
埼玉・与野の多賀哲弥さんは「相談会では生活保護を利用者からの『生活保護だけど暮らせない』という相談が増えている。生活保護は最後のセーフティーネットなのにどう答えたらいいのか」と追及しました。
交渉後、参加者らは各政党を回り、基準を引き上げるようにと議員要請を行いました。
(2024年11月24日号「守る新聞」)