生活保護基準引き下げ違憲訴訟(京都・新生存権裁判)
大阪高裁で原告逆転勝訴
――法廷で思わず拍手
3月13日、京都生活保護基準引き下げ違憲訴訟(京都・新生存権裁判)の控訴審の判決があり、大阪高等裁判所は「逆転勝訴」を言い渡しました。高裁での判決はこの勝訴で3勝4敗になりました。全京都生活と健康を守る会連合会の田中章一事務局長からの報告です。
生活実態真摯に受け止め
関西地区やさらに遠方からの参加もあり、約100人で判決を見守りました。大阪高裁(佐藤哲治裁判長)は、京都地裁の一審判決を覆(くつがえ)し、「厚生労働大臣の裁量に逸脱(いつだつ)、濫用(らんよう)があり違法。国の基準引下げ処分を取り消す」との判決を言い渡しました。
裁判所前で「勝訴」「保護費引下げの違法性を認める」「逆転勝訴」の3本の旗が掲げられ、大きな歓声が上がりました。
報告集会は大阪市中央公会堂大会議室で行われ、弁護団から判決の説明がありました。
「国家賠償請求こそ認めなかったが、原告らの置かれた厳しい生活実態を真摯(しんし)に受け止め、厚労大臣が行った生活保護基準引き下げは、裁量権を逸脱・濫用しており違法。処分取り消しの判示があった」
一審のコピペ判決(NHK受・診料の誤字)とは異なり、自らが考えて書かれているとの解説もあり、本当に勝利できて「よかった」という気持ちが込み上げます。
老齢加算の闘い今につながる
判決要旨には、デフレ調整による厚労大臣の判断について、「統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の有無について審査することとした」とありました。
先の老齢加算(生存権裁判)の最高裁判決の判断枠組が今回の審理で取り入れられ、「保護世帯と一般世帯の消費実態には無視できない違い」があり、裁量権の範囲を逸脱しているとしています。
生存権裁判で勝ち取った判断枠組みが、今、力を発揮し逆転勝訴となったことに、改めて感動です。そして、老齢加算の闘いに真っ先に手をあげた京都の松島松太郎さんらの運動が今につながっていることに感激です。
私たちの運動は、生活保護基準が元に戻ることが目標だということを確認しました。集会ではたくさんの喜びや思いが、原告・支援者から語られました。一段上のステージ、最高裁でも勝利し、多くの仲間と喜びを爆発させたいと思っています。
(2025年3月23日号「守る新聞」)