広島高裁 勝訴
連続勝訴 最高にうれしい
国は生活保護基準を戻し、引き上げを
広島高等裁判所第4部(河田泰常裁判長)は4月18日、広島県内の生活保護利用者63人が広島市ほか4自治体(判決時)を被告として提訴した裁判の控訴審で、一審判決を支持し、生活保護基準引き下げ処分を違法として原告側勝訴判決を言い渡しました。この判決で高裁は7勝4敗になりました。
非常に評価できる判決
裁判所前に「勝訴」「司法は生きていた」の2枚の旗が掲げられると、支援者から大きな歓声があがり、法廷から戻ってきた原告たちを拍手で迎え、喜びを分かち合いました。
報告集会で津村健太郎弁護団長は「非常に評価できる判決。最高裁でもこの判決を検討したうえで、適正な判断をしてもらえると期待している」と話しました。
石井誠一郎弁護団事務局長は判決について、「一審よりさらに踏み込んで、『デフレ調整』についての判断を示した。生活扶助基準を4・78%引き下げた判断過程および手続きには、『統計等客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見等の整合性の有無から見て、厚生労働大臣の判断過程および手続に明らかな過誤、欠落があり裁量権の範囲逸脱・濫用があり、生活保護法3条、8条2項に違反し違法』と断定した」と述べました。
支援する会の鈴木勉代表は「闘いは最高裁まで続く。原告の皆さんのお迎えはもう少し待っていただきたい」と会場を沸かせ、続けて「貧しさは恥ではない、闘わないことが恥である」と朝日茂さんの言葉を紹介し、さらなる奮起を求めました。
(藤川祐士通信員)
最高裁へ向け頑張る
原告の談話を紹介します。
原告団副団長・吉原昭三さん(85)=2014年に原告になってから11年たつ。長かった。高齢者は老齢加算の廃止、生活保護基準の引き下げで苦しめられてきた。政府は誤りを認め基準を元に戻すとともに、物価高に見合う基準引き上げに取り組んでほしい。
中村絹枝さん(80)=一審に続き勝訴判決となり、うれしくて涙が出た。弁護団の先生が一審判決より良い判決と話し、よかった。支援してくれた皆さんに感謝の気持ちでいっぱい。最高裁へ向けて頑張らなくてはと心新たにしている。
金広孝史さん(65)=全国の高裁勝訴判決に続き勝訴して最高にうれしい。裁判長の「棄却する」という言葉が頭から離れない。一審より進んだ判決で、デフレ調整についても訴えが認められて良かった。最高裁でも勝つぞ! と希望が見えた。
(2025年5月4日号「守る新聞」)