能登半島地震義援金で保護廃止 石川 能登
2年たっても変わらない
復興も自治体対応も進展なし
2024年1月1日に石川県の能登半島を襲った地震から2年が過ぎました。依然として進まない被災地の復興の中で、義援金などの配布により生活保護を打ち切られた利用者がたくさんいます。石川・金沢生活と健康を守る会の信耕(しんこう)久美子さんから、現在も変わらない実態の報告です。
利用者の5分の1が廃止に
地震後の義援金・生活再建支援金(以下、義援金など)の配布による生活保護廃止は今も続いています。
奥能登4市町(輪島市・珠洲(すず)市・穴水町・能登町)の生活保護廃止世帯数は、2025年11月末で60世帯。1年前より27世帯も増えています。地震前の4市町の生活保護利用世帯数は315世帯だったので、5分の1に該当します。
25年10月に配布された第5次義援金(最高80万円)により再度の廃止も起こっています。
守る会と計画書つくり認定除外
最近あった2つの相談も第5次義援金に関してでした。
相談者は第2次以降の義援金などの配布により、生活保護が廃止され手持ち金がなくなってから再度申請した人たちで、生活再建費用として収入除外ができることも、自立更生計画書(以下、計画書)についても全く説明を受けておらず、一時収入があったので生活保護廃止は仕方がないことと捉えていました。
1人は一緒に作成した計画書を提出し認められましたが、もう1人は役所との関係が悪くなると恐れ、固辞し、廃止されたままです。
自治体に対し改善をせまる
この間、全生連と共に現地調査を2回行い、その都度、石川県や輪島市と懇談しこの問題を指摘してきました。
輪島市で発生した計画書作成なしの停止事例は、東京新聞、時事通信、しんぶん赤旗などが取材し、広く報道もされました。災害直後の混乱時期ならまだしも、2年が経った今でも自治体の対応は変わっていません。
私たちは闘い続ける
自立更生書の適正運用を
石川能登
「目的外使用」と廃止
どうして自治体は国の通知に沿って説明し、計画書の作成をしないのでしょうか。
そこには、生活保護利用者が全財産を失う被害を受けていても、生活保護基準以上の金銭を持つことを「良し」としない生活保護バッシングがあるように思います。
自治体職員に知識がなくて説明しなかったのは論外ですが、たとえ計画書の作成を説明しても、生活再建に「こんなにお金は要らないはず」と廃止が前提です。輪島市の計画書記入例に書かれた金額は、お墓の修理30万円と引っ越し代20万円を入れても総額で91万円でした。
また、義援金などの取り扱いについて説明しないまま、後で「何に使ったのか領収書を提出するように」と指示し、生活再建目的以外の使用があったと廃止にしている事例もありました。
義援金の収入除外運動を
かなり柔軟に対応できるはずの国の通知が、今回のように正確に運用されることがなく、国や県に指摘しても「問題なし」と回答してくるのであれば、この通知は「絵に描いた餅」でしかないと言わざるを得ません。これでは次の災害でも同じ理不尽が起きるでしょう。
これを解決するには、被災自治体や被災者に大きな負担を強いる「計画書作成による収入認定除外」をやめ、原則「義援金などについては収入と認定しない」にするしかないと思います。
全生連の要請や新聞報道のおかげで、2月20日に日本弁護士連合会から「令和6年能登半島地震の生活保護世帯である被災者が受ける義援金の収入認定に関する会長声明」が発表され「義援金の額については、その全額が『自立更生のために当てられる額』に該当するものとして、生活保護の減額や支給停止がなされないよう」関係自治体に適切な対応を求めました。3月2日には金沢弁護士会からも会長声明が発表されました。
能登半島地震からまだたったの2年しか経っていません。私たちの闘いはまだまだ続きます。今後もご支援よろしくお願いします。
(2026年3月22日号「守る新聞」)